こんにちは、ごきげんくんです!
あしたの健康づくり研究所では、衛生工学衛生管理者、健康経営エキスパートアドバイザーの免許・資格を有するごきげんくんが、健康づくりの秘訣や健康管理のアドバイスを発信しています。
今回のテーマは労災二次健診です。タイトルをご覧になって衝撃を受けた方も多いと思います。
国が規定する制度、法律に定められた健診で、しかも無料の優良な制度です。
この健診を知っているのと、知らないのとでは健康管理に大きな差が出ることでしょう。
しかしご安心ください。健診業界で法人営業をしていた時に、積極的に労災二次健診のご案内をしていましたが、健康管理担当者で、ご存じの方はほぼいないです。
医師や保健師でも知らない方の方が多いです。ご存じなのは、安全衛生管理を専門的に勉強されている方、社労士の方でしょうか。
マイナーな制度ではありますが、あなたがこの健診の対象になる可能性は十分にあります。
対象になれば、総額40,000円程度の健診が無料になるのです。
是非、労災二次健診について知り、この制度を有効活用していきましょう!!
目次
労災二次健診の概要
先述のとおり、労災保険二次健康診断等給付(以下、労災二次健診)は国が法律で定める健診制度です。
(労働者災害補償保険法 第26条~第28条)
年に1度受診する定期健康診断等の結果、血圧、血中脂質検査、血糖検査、肥満度の4項目において、異常所見があると診断された場合に、脳血管・心臓の状態を把握し、脳・心臓疾患の発症の予防を図るため1年度内に1回、無料で受診することができます。
要件を満たせば、誰でも受診可能です。ハードルは高くないと言えます。
受診の要件、検査の詳細、注意事項等は後編の記事でお伝えします。
素朴な疑問
なぜ国は労災二次健診を無料で行うのか?
厚労省は「脳血管・心臓の状態を把握」し、「脳・心臓疾患の発症の予防を図る」ために労災二次健診をすすめています。
厚労省が報告する『令和4年(2022) 人口動態統計月報年計(概数)の概況』によれば、死因の上位は、悪性新生物(がん、24.6%)、心疾患(14.8%)、老衰(11.4%)、脳血管疾患(6.8%)であり、心疾患と脳血管疾患をたせば1位の悪性新生物に迫っています。
心疾患、脳血管疾患の発症は運動習慣、食習慣、喫煙、睡眠等の生活習慣が大きく関わってきます。
そのほか、業務による過重負担やストレス等が蓄積し、死亡したり、障害状態になったりし、労災認定されるケースも近年増えてきています。
健康に気を配っている人であっても心疾患、脳血管疾患は何の前触れもなく突然発症します。そして発症したら、健康の時と同じようにしゃべれなくなったり、車いす生活を余儀なくされたり、亡くなってしまうケースもあります。
私が健診業界で法人営業をしていた時の事例をお話しましょう。
健康管理部門の責任者であった方(50代男性)は、毎朝ジョギングをし、食事にも気を付け、健診も毎年受けていました。しかし、あるとき動脈硬化性疾患を患い、半身不随となり会社を退職されました。
脳梗塞、心筋梗塞等の動脈硬化性疾患を患うと、自身の健康を損なうだけでなく、ご家族にも大きな影響を与えます。さらに職場では労働力が低下、業務効率も悪くなることでしょう。医療財政にとっても影響は大きく、動脈硬化性疾患がこのまま増え続けると医療費、治療費は莫大なものとなっていきます。
経済的損失を減らすため、医療費を減らすため、国は予防に力をいれ、健康経営を推進しています。
労災二次健診はこれからさらに注目される健診となるのではないでしょうか。
本当に無料か?永続的な制度か?
このような質問をよく受けるのですが、労災二次健診自体は現状無料で受診可能です。ただし、労災二次健診後の経過フォローで外来受診をされた場合等は保険診療となり、費用が発生します。
国の制度ですので、継続は財政状況にも左右されるでしょうが、現在のところは心配無用と思います。
国が勧めているのに、国民の大半はなぜ制度を知らないのか?
労災二次健診は、実は平成13年(2001年)にスタートし、既に20年以上経つ制度なんです。
しかし、ほとんどの方が知らないのはなぜか?広報活動が足りてないのでしょうか?
私は敢えて大々的に広報をせず、様子を見てきたように思います。無料の制度なので、受診希望者が殺到した場合を想定し、財政的な懸念材料もあったことでしょう。
国の施策とは大体このようなもので、全体的に周知はするものの、知る人ぞ知るものが多いですよね。
必要な情報は自らとりに行かなければなりません。健康情報についても同じです。
もう一点が受け容れる医療機関の問題があると思います。精密な検査で、どの医療機関でも対応が可能と言うわけでもないので、あまり大きく展開することが出来ていないのでしょう。
労災保険に何か影響があるの?
労災二次健診を受けることで、保険料に影響したり、別途費用が発生することは全くありません。
むしろ、このような制度を積極的に活用されていることは、外部へのアピールポイントとなることでしょう。
実際みんな受けているの?
健診業界で法人営業をしていた時には、企業に労災二次健診の案内を積極的にしていました。
また労働局に対しても実施報告、請求を行っておりました。(これが非常に大変!)
労災二次健診の受診をおすすめするのは、動脈硬化性疾患の発症リスクが非常に高い方ですので、健康管理担当者にもその旨をお話し、積極的な受診を勧めていただきました。(まさに健康経営!)
既に生活習慣病等の治療中の方は、現在の主治医の先生の指示に従ってください。
ほとんどの方は、定期健診で指摘されても、そのまま放置されています。
そのような方に将来的なリスクをお伝えし、健康づくりに向き合っていただく、よいきっかけになると思います。
成果としては受診をお勧めした方のうち、70%ぐらいの方が受診されたと思います。
さいごに
本記事では、労災二次健診という、国のお得な健診制度をご紹介しました。
おおまかな概要については、ご理解いただけたのではないでしょうか。
本記事ではお伝えしたいことが多く、紙幅も限られますので、
受診の要件、検査の詳細、注意事項等は後編の記事で解説いたします。
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